整備士の方は仕事の時はほぼ毎日ラチェットハンドル(ソケットレンチ)を使っていると思います。
自動車は主にボルトとナットでボディなどが固定されており、それを緩める、締めることを早くできるものがこのラチェットハンドルになります。
スパナやメガネレンチといったものだけでも良いのですが、これだけだと早くボルトなどを回すことが出来ず、仕事が進まなくなります。
そのため工具箱には絶対に一つは入れておきたい工具になります。
ここではどんな物でどう使うかを書いていきます。よろしくお願いいたします。
↓こんな感じの工具です。
提供:facom
そもそもラチェットって何?
一般に工場とかでは『おーい、ラチェットハンドル取ってー!』なんて言わず短く【ラチェット】って言ってますよね?私はそうでした。
ただ、正式には【ラチェット機構】のことを指しておりその機構がついているハンドルがラチェットハンドルなんです。このハンドルの頭にソケットと言われる工具をドッキングさせて使うわけです。
他にもラチェットレンチというのもあるのですが微妙に違うのでそのお話しはまた今度。。
※ラチェット機構
簡単に説明すると歯車(ギア)と爪がかみ合い力(トルク)を掛けられることができる機構です。
↓見つけた画像ですがこれが非常に分かりやすかったです
前置きが長くなりましたがここから種類や使い方について説明していきましょう!
ヘッド形状
大きく分けて2種類あり丸型と小判型と言われます。
小判型
参考:KTC
文字通り小判みたいに楕円形の形でスタンダードラチェットとも言われています。
切り替えレバーが付いているため緩め、締め方向がすぐ分かるようになっています。また丸型より全高を低く作れるようになっています。耐久力も丸型に比べて大きいと言われています。
ひと昔前はギアの送り角が大きく狭い場所には向かないと言われていましたが今では細かいギアの物も出てきていてそのデメリットも解消されているのではないでしょうか。
一般的に外歯式が使われます。
丸型
参考:facom
丸型は小判型よりヘッド部が小さくギアを細かくできるため狭い所にアクセスしやすくなっています。ギアの切り替えはレバーではなくプレートを回すタイプなので緩め、締め方向は分かりづらいです。
一般的に内歯型です。
丸型は耐久性が小判型より弱いと言われているし現在は小判型でもギアの細かいものが出ていますので正直丸型必要?と思われそうですよね。
自分は丸型のラチェットを使っていますので個人的にはこっち側に思い入れがあります。
そんな小判型に押され気味?の形ですが!この丸型をフルに使っているものがあります!!
この後説明していきます。
外歯式と内歯式について
さっきから出てきている外歯式と内歯式ですが、サラッと説明していきます。
・外歯式は歯が付いている部分が回り爪と呼ばれる部分とかみ合い反復運動を行えるようにしています。
・内歯式は外歯式とは違いヘッド部にギアが切ってあり、その中心の爪を持つ部分が回り反復運動を行っています。
外歯式は爪の部分のスペースを設ける為あの楕円形の形になってしまうんですねぇ。まぁあの形がかっこいいんですけど。
ちなみに歯の数で送り角が変わります。送り角は1周360°に対しての歯数で変わります。
大体36.72.80.90ギアあたりではないでしょうか?
36ギア→送り角10°
72ギア→送り角5°
みたいに歯数が多ければ多いだけ細かい動きができます。ギアが細かい方が値段が高くなっていきます。
差し込み角の大きさについて
差し込み角は大きさがありそれぞれに合ったソケットを選ぶ必要があります。
←このドライブ角と言われる部分です。
2通りの呼び名がありどちらも覚えておけば間違いないかと思います。
まず大前提に1インチ(25.4mm)に対してということを覚えておいてください。
1インチに対して
1/4 (6.35mm)
3/8 (9.5mm)
1/2 (12.7mm)
バスではこれより大きいサイズを使うのは当たり前ですが、この3種類が一般的に使うサイズですかね。3/8が割とスタンダードなのでまず買う時は3/8を買っておけば間違いないでしょう。
それぞれの場面で用途が変わってくるので理想はこの3サイズを揃えるとgoodです!
使い方について
ラチェットはギア機構を活かした反復運動でボルトやナットを緩めたり締めたりします。
メガネレンチなどは一度工具自体の向きを変えてまた緩めたり締めたりするのでスペースも手間も必要です。
ラチェットはラチェットさえ入れば使え、どんどん回せますので作業スピードが早くなります。
電車でいうところの鈍行と急行ぐらい作業スピードは変わるイメージです。
たまにやってしまうのですがスペースあるところでラチェット使ったりしてしまいますが、使う必要は私はないかなと思います。
作業効率悪くなる可能性がありますので適正な工具を使いましょう。
それと重要なことですが、ラチェット機構のあるものは本締めや一発目の緩めにはなるべく使わないでください。
使っても大丈夫なように設計はされていますが、過度の力は中のギアを痛め壊してしまう恐れがあります。
工具入れ替えるのが面倒なのでそのままやりがちですが、寿命を短くしてしまう恐れがあるので気をつけてください。
適材適所ありますので、あくまで早回しに使うものだということを念頭に置いてください。
種類
最後にどんなものがあるかサッと説明します。
ちなみにどれも全体サイズにロング、ショートとあり力を使ったり遠い所にアクセスするのにはロング、狭い所や細かい作業が必要な場所ではショートを使うと良いでしょう。
スタンダード
これが基本です。まずはこれを持っておけば特に困ることはないかと思います。
(提供:KTC)
首ふり
スタンダードの進化版です。ヘッド部分だけが振れて少し角度があるところなどにアクセスができるようになりとっても便利です。使っていくと根元が緩くなっていくものもあるので注意が必要です。
(提供:KTC)
スイベル
頭が180°回転することでさまざまな場所にアクセスしたりドライバーみたいに早回しをできたりします。
(提供:TONE)
見てください。このスイベルに使っているのが丸型です!
これは小判型では出せない技ですね。
最近人気みたいで軸が対象物にまっすぐに掛けられたりしてしっかり締めたり緩めたりもできるみたいです。
私はまだ持っていなくてこれは是非欲しい工具の一つです!
↓こんな感じでぐるぐる回るのには丸型ヘッドでなければなりませんね!
ラチェットハンドルは自動車整備において必須工具の一つだと私は思います。
実際私が整備士の時は、毎日かならず使用する時がありました。
なので、持っていない方は必ず購入してください。
今回は以上です。ありがとうございました!
ike-masu